■クラウド×クラウドの国民参加システム
経済産業省が、インターネットを通じて国民から意見の募集を行うとともに、国民の間での政策議論を促進することを目的としたサイト「アイディアボックス」を2月23日にオープンし、3月15日まで IT 政策についての意見を募集している。
「アイディアボックス」は、IT 政策に関する意見をインターネットで広く募集し、議論するための仕組みで、1.新規アイディアの投稿、2.投稿されたアイディアに対するコメント機能、3.投稿されたアイディアに対する賛否投票などを行うことができる。
投稿・投票にはユーザー登録が必要だが、OpenID にも対応しており、mixi や Yahoo! JAPAN、livedoor および Google のアカウントでログインすることもできる。また、Twitter やはてなブックマーク、delicious のサービスとも連携しており、外部のソーシャルメディアとも連携したものとなっている。
「アイディアボックス」トップページ
3月1日現在 登録ユーザー数は3,000名を超しており、約500件のアイディアと2,500件のコメントが投稿されているが、経済産業省はこれを「国民参加型のネット審議会」と位置付けており、同省の審議会である産業構造審議会情報経済分科会における検討の一環として活用する予定である。
システムは、社団法人オープンビジネスソフトウェア協会がオープンソースの顧客管理ソフトウェア「SugarCRM」をベースに開発したシステムを SaaS により提供しており、いわば、クラウドサービスによるクラウドソーシングである。
■Salesforce CRM から SugarCRM へ
実は、経済産業省にとって今回のような試みは2回目となる。同省は、インターネットを活用し政府を国民に開かれたものにしていく「オープンガバメント」を推進しており、その取り組みの第一弾として、昨年10月14日から11月14日まで、電子政府の取り組みに関して、国民のアイデアを吸い上げるとともに、参加者同士で情報交換・議論するための「電子経済産業省アイディアボックス」というサイトを開設し実証実験を行なっていたのである。
同サイトには、約1か月の間に1,706件のアイデアやコメントが寄せられ、約70万回閲覧された。
「電子経済産業省アイディアボックス」のシステムは、オバマ大統領の政権移行チームが開設した、国民が政策のアイデアを直接投稿できるサイト「Change.gov」でも利用していたセールスフォース・ドットコムの「Salesforce CRM Ideas」をカスタマイズして構築されたものであった。
ユーザーが投稿したアイディアやコメントをリアルタイムで公開するのみならず、アンケート結果を公開するとともに、アイディアやコメントの分析にマインドマップやテキストマイングを利用して、その結果や、分析用に加工したデータ、分析プロセスを公開して、分析段階においても国民の参加を呼び掛けるというオープンな試みであった。
電子経済産業省アイディアボックス マインドマップ
しかし、運用終了後にシステムが利用できなくなったことから、オープンビジネスソフトウェア協会の母体となった「SugarCRM 日本語ドキュメントプロジェクト」の有志が、寄せられた意見を再掲載して、検索し、活用するための仕組みを作成し、「アフターアイディアボックス」として経済産業省に無償で提供した。
「アフターアイディアボックス」トップページ
この「アフターアイディアボックス」での反響もふまえ、動作速度や機能上の問題を改善し、より多くの利用者と投稿数に対応できるように構築したのが、今回の「アイディアボックス」である。
■Twitter との連携を強化
今回のアイディアボックスでは、(1)投稿されたアイディアをもとに Twitter 上でつぶやく、(2)Twitter 上の#openmeti のつぶやきがサイト上に表示される、といった Twitter との連携機能が強化されている。また、経済産業省自身でも Twitter アカウント「@openmeti」を開設しており、Twitter との連携機能が強化されている。
Twitter 活用の経緯については、 経済産業省オープンガバメント推進ブログにおいて次のように述べられている。
「これは、議論の場をアイディアボックス内だけに閉じるのではなく、ソーシャルメディアとの連携機能の強化により、ネット全体に議論の輪が広がっていくようにすれば、より多くのアイディアが生まれてくるのではないかと考えたためです。一方、実際の政策プロセスに還元していくためには、議論を集約していくことも重要です。ネット全体で行われている議論をすべて扱うのは困難であり、このため、やはり議論の会場を絞ることも必要になってきます。
今回の情報経済分科会に、国民のアイディアをインプットする試みでは、最終的に分科会に報告されるアイディアは、アイディアボックスに投稿されたアイディアになります。その意味では、アイディアボックスに投稿いただかないアイディアについては、分科会で捕捉されません。
しかし、具体的な「アイディア」という形になる前段階として、思いつきなどを Twitter でブレインストーミングし、それをもとに新たなアイディアが生まれ、アイディアボックスに提出されるというプロセスが発生すれば、非常に有意義なものになると思いますので、ぜひ、アイディアボックス以外の場においても議論をもりあげていただければと考えています」
■運営組織と業務フローの確立がポイント
インターネットを活用した政治への国民参加の仕組みについては、2009年1月18日に、内閣府が国民からの提案を幅広く受け付けるハトミミ.com「国民の声」を開設したり、今後、文部科学省も国民の意見を政策につなげるシステムを開設する予定であり、活発化してきている。
今回の「アイデアボックス」の特徴は、クラウドサービスの利用、外部ソーシャルメディアの活用といったシステム面のみならず、運営面にもある。経済産業省は、担当者の体制を整え、ユーザーからの質問に答えたり、議論のファシリテーションをするなどして、「対話」型の双方向コミュニケーションを実現している。また、行政における政策過程の一環である審議会(産業構造審議会情報経済分科会)とリンクさせて、政策過程につながる回路をつくっている。
経済産業省では、終了後はソフトウエアを一般に公開し、他省庁や自治体に対しても同様な仕組みの採用を働きかける予定としているが、インターネットを活用した国民参加型の仕組みの成否のポイントとしては、運営において組織や業務フローを確立できるかどうかという点が最も重要と思われる。
http://japan.internet.com/column/wmnews/20100301/8.html

















